にゃんこスターの思い出

振り返るとあの瞬間まで、夢だった。

 

 


8月、僕はたまたま中野小劇場のお笑いライブを見に来ていた。その日は土砂降りで普段の僕なら外に出るのすらためらうだろう天気だった。

 


2時間くらいだっただろうか、生で見るお笑いというのはこんなにも違うものかと感動していた。パーパーやランジャタイ、まんじゅう大帝国、ゾフィー、どのコンビもとても面白かった。そして、最後のコンビが壇上に現れた。にゃんこスターだった。なわとびネタだった。スーパー3助が、のそりと登場し憎たらしくセリフを言う。なわとびが好きらしい。こいつ最高に馬鹿だなと思った。そこからは怒涛だった。一本目も途中で終わりまだ未完成だという二本目を勝手に始める。今度は傘を使ったまったく同じネタ。最高だった。

 


お笑いって面白いなと帰り道、思った。

 


そしてキングオブコント決勝進出者発表の日、仕事中も気が気じゃなかった。でも、フリーだしネタ的に粗さがありその粗さが審査員に受け入れられるか正直難しいと思っていた。

 


ツイッタ―を何度も更新し、その時を待った。発表。いた。にゃんこスター。しかも、パーパー、ゾフィー。あの日見た、準決勝進出者が全員あがっていた。嬉しかった。別に僕がネタを作ったわけでもないし、長年のファンだったっていうわけでもないのだけど、あの日の笑いとあの空間は間違いじゃなかったんだなと思わせてくれるようで嬉しかった。

 


ネットではにゃんこスターがにわかに話題になっていた。だけども彼らはその時点でまだ結成して数カ月。Youtubeにもネタ動画があがっていない。ライブで見たことある人たちだけがそのやばさを知っている。俺たちは知っている。ほのかな優越感を抱いていた。

 


そして決勝当日、友達と一緒にテレビに向かっていた。

 


幸せが爆発していた。

 


バナナマンが、さまぁ~ずが、松本人志が頭を抱えていた。点数が出る。90、89、97、93、そして、あの松本人志が97点。

 


TVに向かって拍手をして友達とハイタッチした。

 



そのあとのことはよく覚えていない。かまいたちがしっかり面白くて優勝したしそれもとてもよかったしなんか全てが幸せだった。

 

 


8月のあの時から彼らのファンだったのだろう。僕には夢のような2カ月だったし彼らは夢を掴んだ。

 



ああ、お笑いって素晴らしい。