母親と痴漢ものを見た話し

昔から自分は家族と仲が良いわけではない。

 

家に帰っても特に言葉を交わさないし食卓を共にしても僕はご飯を食べてテレビを見て自分の部屋に戻ることが多い。だからといって仲が悪いわけでもないのだが。

 

なので親は自分が友達との間では喋る方だとかお笑いが好きだとかパーソナルな部分に関しては知らない。きっと根暗な少年と思われていただろう。

 

高校一年生の頃、母親に映画に誘われた。9月の曇りの日だった。

 

母親と2人で出かけることなんてこの1回きりで急にどうしたのだろうと、学校帰り丸ノ内線のホームから池袋の東口まで出て合流した。学ランを着た僕はふたりで歩くのが少し恥ずかしかった。

 

サンシャインの映画館についてその時に初めてこれから僕らが見る映画を知った。「それでもボクはやってない。」だった。

 

痴漢をしかねないやつと思われていたのだろうか。切なかった。混乱のなかで見たその映画は今でも記憶のよく分からない部分に滞留している。見終わってデニーズでハンバーグを食べたのだが味はよく分からなかった。

 

ちなみに痴漢もののAVは嫌いじゃない。